ブログ 北山杉の里だより

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JICAさんへ。愛をこめて

2011.11.4  北山杉体験・研修 

11月に入っても日中の気温が25℃を超える夏日!

夜は冷えるかと思ったら昼間は半袖でも気持のいいくらいの陽気に体もおかしくなりそう…

「寒暖アレルギー」でクシャミが止まらなくなり、マスクをしている人も見かけます。

そんな陽気も暑い国の方々には幸いだったかも知れません。

今週はJICA(Japan Internatiotal Cooperation Agency)略称ジャイカ、日本国際協力機構から研修のお客様を迎えました。

中国、ガーナ、ブルキナファソ、パプアニューギニア…などの国から十数名。まずは研修ルームにて北山杉・北山丸太のお話が始まりました。

 パンフレットとお土産の丸太コースターを手に熱心に耳を傾けています。勿論、通訳さんが英語で伝えてくれます。

通訳さん、カッコイイ!! 枝打ち、絞り丸太などの専門用語もよく解るように説明してくれます。この後、ビデオを見ながら同時通訳のような忙しさ。もう生産組合の専属通訳さんになって欲しいくらいです。

質疑応答では「1ヘクタールに何本くらい植えるのか」「一般の柱は何メートルくらいなのか」など活発に質問されます。

 

 

 続いて、活動室の床の間を見学されました。木工品の行燈はlight?lump? タルキ(北山杉小丸太)を意匠に使った天井を見上げてパチリ。パチリ。

 

綺麗に枝打ちをして、細くて空に向かって真っすぐに伸びる台杉を前に「Oh~」

ここでも「1ヘクタールに5千本~6千本植林したうち最終製品として伐採されるのは何本くらい?」、「結構根元より上の方から伐採されているのは何故?」などの質問が飛び交います。

 

おしまいに倉庫でたくさんの磨丸太、絞丸太を見学されました。

現在は床の間のある家が少なく丸太の需要が減少している中、中国への輸出も視野に入れて活動しているというお話もさせていただきました。(中国からも来られてましたからここぞとPR!)

 

 人造絞りが人気の的。判りやすいように中間の箸状当て材をはずしてある人造絞りのモデルさんに写メの嵐!!「絞り模様にも色々あるのでプラスチックの箸状当て材の巻き方もいろいろです。」「ふむふむ~~」

 

 最後に皆さんが輪になって…何が始まるのかと思ったら、何とお礼のご挨拶を頂戴しました。

それは北山杉・北山丸太のことをよく知ることが出来たこと。あまり豊かでない土地を利用して、太らさず密度の高い木という特性を生み出したこと。このような不況の中でもゆるがない信念を持ってつくり続けていること。

自分たちの国に帰っても、決して肥沃ではない土地でも何かが出来るということを今日、学ぶことが出来た。そしてお世話になった組合スタッフに感謝します…Thank you very much…という有難い言葉でした。

ようこそ国境を越えて北山杉の里へ。

世界中の人々に北山丸太を見て、知っていただき、その手触りを感じてもらえたら…

私たちこそ喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。

時間ギリギリまで挨拶して下さった皆さんを乗せたマイクロバスは次のコース、金閣寺へと出発しました。

ありがとうJICAの皆さん、愛をこめて「いつかまた来て下さいね…!!」

 

「駅ナカ 京のふるさと出会い市」に出店して

2011.10.31  イベント 

去る10月26日水曜日。「駅ナカ京のふるさと出会い市」に参加、京都駅にて北山杉・北山丸太のPRを行いました。

地下鉄京都駅、改札口前に設けられたブース、我々の隣は北山の里の草もち屋さんです。北山杉のハッピも凛々しく、大きな声で呼びかけます。

北山杉のお箸・定規・ペーパーナイフ・コースター・花瓶しき・肩こりツボ押しなどなど…自慢の可愛い小物の販売もします。 

PRグッズ、パンフレットずらり。

 

午前中は人手も多いものの、皆さんバタバタとされて若い人は見向きもしません。何かな?と近寄ってくれるのは年配の方、でも草もちの方ばかりです…じーーー…もっと呼び込みしなくちゃ。

 

アッ!! お客さん、でも外国の方…ドキドキ

肩こりツボ押しに興味を持たれたみたいです。でも英語むずかしいから、実際にやってみて納得。国境を越えて肩こりは共通!身振り手振りが一番ですよね!!

 

午後からは立ち寄って下さるお客さんもチラホラ♪

定規を選んで差し上げます。木目の出方が色々で一つずつ違います。

「どれがいいのかしら?」 「好き嫌いもありますけど、木目の細かい方がいいですね。」

お買い上げありがとうございました^^

 

一日が終わって…コースターや花瓶しき、定規が売れました。少しですけど…皆さんこちらを横目でチラチラと見ながら草もちを買っていかれ、そちらは完売。

でも、京都駅にはたくさんの人が行き交い、声をかけながらの交流はとても面白かったです。

 次回は11月9日水曜日、午前10時~午後5時30分、同じく地下鉄京都駅改札口前で開催予定。

紺色のハッピと「北山杉 北山丸太」のタオルが目印です。

何かひとつ手にすれば、きっと北山丸太の温もりを感じていただけるのではと思います。

その瞬間にあなたもCO2削減に向けて地球を守る人となるのです。

笑顔でお待ちしていますからお気軽に声をかけてくださいね…!!!

 

 

中川・秋の風物詩を探して(2) 

2011.10.28  北山杉の里 見どころ 

10月もまもなく終わろうとしています。陽が落ちるとサッと冷たい空気が身体を包み込み、思わずぶるっと身震い…そろそろ炬燵が恋しくなってきました。

宗蓮寺の紅葉はまだほんの少ししか色づいてはいませんが、もう一つの見どころを迎えています。

参道に入るとすぐに目に入るピンク色…

山門へと続く道沿いに咲く可憐な花。秋明菊(しゅうめいぎく)が最盛期を迎えています。

 

秋明菊は「菊」という名前がついていますが、菊の仲間ではなくアネモネの仲間です。

植物学ではキンポウゲ科。古くは中国から伝わり秋牡丹とも呼ばれていました。また、貴船に多く自生したことから貴船菊とも言われています。

背が高くなり、茎は長くその先に花をつけ風に揺れる姿がとても嫋やかです。

 

山門をくぐり見渡せばあちらこちらに群生する鮮やかな色。

ミツバチが夢中で蜜を吸っています。カメラが近づいても、知らん顔。

 

お寺の中の小さな流れの周りにもトクサやシダ類など、色々な植物が見えます。 整然としすぎず、自然のままの姿にかえって風情を感じます。

とっても可愛いお顔のお地蔵さん。

 こちらは面白いお顔の???

 

 秋明菊だけでなく赤い実や黄色い花、色とりどりで華やかな雰囲気です。

 

これは「ツワブキ」。フキの仲間ですが、葉がつやつやとしていることから艶のあるフキ→ツワブキとなったようです。園芸植物として日本庭園の石組みや木の根元に植えることから石蕗(イシブキ)とも言われています。

 

そして小さな赤い実と少しギザギザした葉っぱが特徴の「センリョウ」。マンリョウと共にお正月の縁起物として良く知られていますね。

 

お寺のまわりにもたくさんの花々が秋の日差しを浴びて元気いっぱいに咲いていました。 

これも秋明菊。もともとはピンク色で、白色や一重咲きは新しい品種のようです。

空に向かって枝を伸ばしているのは「ムラサキシキブ」。6月に咲く花は撮影を逃してしまいましたが、美しい紫色の実をつけています。

果実が紫色なことから平安時代の「紫式部」の名がついていますが、もともとは「ムラサキシキミ」という名前だったそうです。

「シキミ」とは実がたくさん成るという意味。

 

ムラサキシキブの根元に目をやると、青々とした低木が白い、小さな花をたくさんつけています。

ころんとした花びらに溢れそうに鮮やかな黄色い雌しべは何となく椿に似ています。

これはお茶の花。

中川ではその昔お茶が栽培されていました。畑のまわりを囲うようにお茶が植えられ、販売や家庭用のお茶を育てていたのだそうです。その名残でしょうか、今でもところどころにお茶の木を見ることが出来ます。

中川のお茶は独特の味わいだったと聞きました。

こうして今なおひっそりと咲いている花を見ていると茶摘みや干したり蒸したりする光景が目に浮かんできて、中川のおじいちゃんやおばあちゃんと一緒にそのお茶を飲んでみたいなぁ…と思うのでした。

そして何となく椿の花に似ていると思ったのも納得。お茶はツバキ科の常緑樹だったのです。

もうお茶として新芽を摘まれることはなくなりましたが、年中緑をたたえツバキに似た可愛らしい花をつけてくれるお茶も確かな「中川・秋の風物詩」。

  

お寺をあとにして振り返れば、きれいに枝打ちされた北山杉の緑に、秋明菊の濃いピンクがよく映えます。

私たちは、花が季節を間違わずに咲いてくれることで「あぁこの花が咲いたら秋の収穫だな」とか「もうすぐ寒くなるな」とかを教えてもらえる、自然のカレンダーを持っていました。

けれど地球温暖化が囁かれる近年、動植物も絶滅の危機に晒されたり、先日のあけびのようにいつの間にかその姿を見なくなったり、あらぬ時期に花が咲いたり…と言う現実があります。

今年も、中川には秋の花が咲いてくれました。

秋明菊の花言葉は「忍耐」。

この花言葉のように、これからも厳しい環境の中で耐えて美しい花を咲かせて欲しい。

何故か北山丸太と重なり励みをもらったような気持ちになりました。

来年も、その次の年も…。いつまでもこの光景が見られるように願ってやみません。

 

 

心に残る子ども達の笑顔

2011.10.21  北山杉体験・研修 

今週は京都市内の小学校から3年生の皆さんが体験学習に来られました。

生産組合では北山杉の育成や丸太に関するビデオを見たり、さまざまな種類の丸太の展示見学、そして北山丸太を使って簡単なクラフトを作るなど「見て、触れて、学ぶ」ことが出来ます。

学校などの団体さんは勿論、家族や個人の方も大歓迎! 夏休みの自由研究などにも好評です。

 

この日は準備万端…で、担当スタッフ達も朝からバタバタと段取りを決めて到着を待っていました。

3クラス、総勢120名の生徒さんがバス3台で到着。運転手さんやガイドさんも清々しい空気を満喫してられるように見えます。

ご用意したのは枝打ち見学とこむき体験・会議室でのお話と質疑応答・クラフト体験の3コース。

およそ1時間半の間に各クラスがローテーションで全部を体験されました。

 

センター内に入る時、子ども達から「わぁ、いいにおい~」の声があがり何だか嬉しくなりました。

前もって学校で学習されていたので、予備知識も十分。実際に丸太を見ながら年輪の細かさや枝打ちの話に熱心に耳を傾けています。

「何か質問はありますか?」の問いかけにたくさんの手が挙がりました。

その中で私たちの笑いを誘ったのは「一本いくらですか?一番高いのでいくらですか?」という質問。

流石に現代っ子と言いましょうか。けれど大切に育てられた北山丸太の価値を値段で推し測ろうとしてくれたのであれば…この学習の一つの意味を成したのでは、と思います。

 

一方では枝打ち見学が始まるところです。

「カマで枝を打ちます。触ったら手が切れるくらい鋭い刃ですよ。」

梯子よりもっと高いところで枝を打つ職人さん。木とともにゆらゆらと揺れながら、足はしっかりと木に巻きついている姿に「おぉ~~凄い!」と感嘆の声があがります。

次はこむきの体験です。水に浮かべた丸太にみんな大喜び。ビーバーの赤ちゃんみたいに楽しそうにころころと丸太をころがしています。

順番に並んで、教わりながら「こむき」を体験しています。みんな、なかなか上手です。あっという間に薄い皮がなくなってしまいました。

生き生きとした表情を見ていると、「何かをする」と言うことは本当に子ども達の意欲をそそるのだなぁと感じます。

 

お終いは倉庫にてクラフト、可愛い温度計を作ります。

用意されたのは二箇所が平面にカットされた短いタルキ。広い方の面に温度計をボンドで貼り付けて、もう一方の面にはカマボコ型の小さな足を付けます。市の前なので、倉庫にはたくさんの丸太が並べられています。

貼り付ける前にサンドペーパーで余分なひげを擦り取り、きれいにします。ボンドが多すぎてもうまく接着できません。ワイワイ、ガヤガヤ。

最後に「北山杉」の焼印を押してもらって出来上がり。側面に一つ押すのですが、両側とか上の方にも!とか3箇所も押してもらった生徒さんもいて、焼印担当スタッフはてんやわんやでした。

 

終わってみればあっという間の1時間半足らず。

十分な時間ではなかったかも知れませんが、バスの中から笑顔で手を振って帰って行く生徒さん達を見送りながら、水の中の北山丸太やクラフトを作りながら握り締めたタルキの感触、見上げた枝打ちの感動が、大きくなっても記憶の一部に残ってくれたら…と思うのでした。

皆さんも自然の中に身をおいて北山杉の香りに包まれてみませんか?

※ 体験学習や見学についてのお問い合わせは京都北山丸太生産協同組合075-406-2955まで。

 

 

 

 

 

 

中川・秋の風物詩を探して

2011.10.18  北山杉の里 見どころ 

こちら生産組合から望む北山杉の山々は一面のグリーン…小さな若い台杉タルキも、まるで散髪したての少年のように綺麗に枝打ちされて勢ぞろいしている姿が見えます。

そんな中、もみじの木も見上げると所どころうっすらと色づいて来ました。

朝夕冷え込んでくると北山が錦に染まるのも間近です。

 

先週から秋の植物を求めてカメラ片手に中川を歩いています。題して「中川・秋の風物詩を探して」。

緑と水が豊かなところならどこにでもあるかも知れない、長くここに住んでいる方々にとっては毎年見られる普通のこと…だったはず。

でも聞いてみると「昔はいっぱいあったのに今はほとんど見かけないなぁ…」

そんな植物を求めていくつか山道を歩いてみたのですが、ありません。

途方に暮れる私たちに「小学校にあるよ!」という朗報が飛び込んできました。

いそいそと中川小学校へ向かい案内されたそこにそれはありました。

 

うふふ。まだ解りませんよね^^では…

えっ…!?サツマイモが枝についている?! なるほど色は赤みを帯びた薄紫色ですが大きさは10cmくらいです。

これは「アケビ」。

アケビはその昔、山遊びする子ども達にとって絶好のおやつとして親しまれていました。実が膨らんできてもうそろそろ…と狙っている矢先に鳥たちに奪われて悔しい思いをしたり…ところが今ではほとんどその姿を見ることは出来ません。

それが、この中川小学校の裏手に二つだけ実をつけていたのでした。

明日にははじけてしまうだろう…いやいやカラスがつついてしまうよ…と教頭先生に脅され?不安を募らせながら3日間通ってみました。

 

あくる日…わぁ!はじけて少し中身が見えています。アケビについて少し調べてみました。

「アケビ」・・・アケビ科蔓性落葉低木の一種。学名はAkebia quinata。

雌雄異花で、蜜を出さないので受粉形態はよくわかっていません。

雌花が雄花に擬態して雄花の花粉を目当てに飛んでくる小型のハナバチ類を騙して受粉しているらしいです。虫たちを「だまして」と言うのが何かしたたかで面白いですが、それも種の保存ため。

受粉が成功すると雌蕊は果実をつけ、9月~10月にかけて熟して淡紫色を帯びます。

成熟した果実の果皮は心皮の合着線で裂開、甘い胎座(ゼリー状の果肉)とそこに埋もれた多数の黒い種が見えてくる…

ほうほう、文面どおり縦に裂けて中身が見えています。

この白い部分が「胎座(たいざ)」で黒いつぶつぶが種。

白くて甘い胎座を鳥や哺乳類(ヒトも^^)が食べて、種が散布され種は保存されて来たのです。

わかりやすい例ではピーマンの小さな種のまわりに付いている白いふわふわのもの、あれが胎座です。

中川のアケビは少なくなってしまいましたが、山形県では農家さんが栽培していたり東北地方でも新芽を山菜として利用しているのだそうです。

 

そしてアケビの蔓性の茎は「木通(もくつう)」という生薬として使われていました。

利尿作用、抗炎症作用があり漢方処方されます。

この他、強くしなやかな蔓はかごなどの工芸品となったり種は油の原料となるなどあますところなく利用されたそうです。

 

 いったい誰がこの不思議な植物にこのような素晴らしいパワーと用途を見出したのでしょう。

科学の発達した現代にアケビの成分を分析したところで自然の中での動植物の営みの前では何の意味もなさないという気持ちになります。

人も動物も季節の流れの中で、食べられるもの食べられないもの、病に効くもの、怪我を癒すものなど自然の理を学び植物の恩恵を受けてきました。そして植物もまた、動物たちによって種を保存できてきたのです。

いつの間にか自然界のバランスが崩れ、中川のアケビも少なくなってしまいました。

けれど、この小学校にひっそりと生った二つのアケビがどうかたくさんの種を残し、時が巡りめぐって、いつの日かたわわに実をつけてくれたら…

少し冷んやりした秋の空の下、子ども達が山を駆け回ってアケビの種を飛ばしている…そんな光景が目に浮かぶのでした。

アケビの英名はChocolate vine。直訳するとチョコレートの蔓。

蔓がチョコレート色だからなのか、はたまたチョコレートのように甘いからなのか… … 調べてみようと思います^^

ひと皮むけてい~い丸太になりました!

2011.10.7  生産作業 工程 

10月に入って最初の月曜日。清々しいと言うよりは肌寒さを感じる中川は日中でも17℃!

この前までの暑さはどこへやら、日だまりが恋しくなって来ました。

走っていると栗のイガが落ちていたり、柿の実が少しずつ色づいてきたり、川のそばでは蔓からぶら下がったアケビがはじけて開いていたり…目に映るもの全てが自然のままに流れているのがわかります。

 

そんな中、青空を背にまぶしく整列した北山丸太たち。皮をむいたばかりのほやほや丸太が天日干しされています。

今回はビデオ撮影のカメラマンに同行です。

先日、「本仕込み」の様子を紹介しましたが、近年この作業をしているところはほとんどなく、今では伐採してから枝葉をつけたまま約1ヶ月間、葉枯らし乾燥させたあと搬出し、水圧で荒皮むきを行うのが主流です。

機械がやってくれるのでその間、別の作業が出来るという利点もあります。

何度も行ったり来たりしているうちに、だんだん皮がむけて美しい木肌が姿を現します。

水圧で飛ばされた皮があちこちに付着しています。とても細かく、それだけ局所局所に強い力がかけられているのがわかります。

カメラマンも水しぶきを浴びるくらい凄い水圧です。

このように機械化されるまでは勿論、すべて手で荒皮をむいていたのです。今日は手作業での皮むきもご紹介します。

伐採された北山杉たち。この太さでも大体樹齢30年ほどだそうです。年輪が詰まっているんですね。

荒皮は分厚くガサガサしています。でも、職人さんは見ただけで「これはきれいにむける」と判るそうです。「熟練の勘」なんですね。

木肌を傷つけないように「ヘラ」を差し込んで横へ滑らして荒皮を剥がしていきます。するするとウソみたいに剥がれて、そこから覗く木肌はしっとりとみずみずしく…

これが「ヘラ」。それぞれ職人さんが自分の手に合うように手作りします。自然にカーブを描いているヒノキの枝を使います。その方が皮をむく時、丸太のカーブとなじんでむきやすいんですね。

ぺろ~ん!こんな風にきれいにむけました。さすがです!右の方にも一枚見えていますが、この杉皮は壁や天井に使用したり、瓦や茅葺屋根の下にひいたりされていました。

今では大部分、水圧でむいているので、逆に立派な一枚ものの杉皮は貴重な存在かも知れません。

 見て下さい、この光沢を! しっとりと濡れていて、たった今まで木が生きていたことを語っています。

ひと皮むけて、水も滴るイイ男って感じです^^

この後、まだ表面に付着している薄い繊維のような皮を丁寧にこそぎ取る作業が「こむき」です。

少し「こむき」をやらせてもらったのですが、なかなか根気のいる手作業。プロはシャカシャカといい音をさせて仕上げて行き、見る見るうちに表面がツルツルになりました。

 

伐採して、荒皮をむいたばかりの丸太は水分を含んでいて、とても重いのです。

それでもヒョイと担ぐ職人さん。どんなもんかと肩に乗せてもらったカメラマンさん、おっとっと。腰が入っていませんよ^^

 

また、同じ水圧を利用して手動でむく方法もあります。

長いノズルが洗車機のようですが、これで車を洗ったらボディがへっこんでしまうのでは?と思うくらいの水圧です。

 

先ほど「水も滴るイイ男」と言ってしまいましたが、この後乾燥された丸太は柱としての嫁ぎ先が決まると再びツヤツヤに磨き、綺麗にお化粧をして嫁に出されます。

手塩にかけた北山丸太が家もしくは間(ま)という主を持ち、あたたかな光を放ちながら佇む時…それは職人さん達の苦労が報われる時であり、喜びに違いありません。

幾重にも描かれた年輪は人に喩えると人生。

ヘラを使って手作業での荒皮むきを見て、そのごつい皮からつややかに濡れた木肌が現われた瞬間、雨の日も日照りの時も雪の重さにもじっと耐えた歴史を思うとともに「化粧柱」としての北山丸太の真髄を見たような気がしました…

 

 

 

たちかけ姿に秘められた乙女ごころ

2011.10.3  日記 

秋の日はつるべ落とし…9月も過ぎ、日の暮れるのが早くなりました。

山々は静かにその姿を保ち、高い空との稜線をくっきりと描いています。

その独特な紅い色に目を惹かれると…ところどころに群れをなして咲く彼岸花は季節の訪れを主張しているかのようです。

 

先日は中川のKさん宅にお伺いしました。

ご高齢にもかかわらず現在も山のお仕事をされているKさん。

昔ながらのお家、玄関の軒先には手作りの杉玉が。お隣には丸太を切ったアレンジメント!

倉庫では出荷への出番を待つ北山丸太たちが並べられています。

 Kさんが心を込めて育てた北山杉。人造絞りや天然出絞(でしぼ)、磨丸太、色々あります。

もっと見ていたいけれど今日のお目当ては…

私たちのリクエストに応えて颯爽と登場して下さった奥さまの出で立ちをご覧下さい。

 

これが中川の伝統的な女性の作業着、「たちかけ」の姿です。もんぺとは違うのが判りますか?

今ではほとんど着ることはなくなりましたが、昔はみんなこのように手拭いで姉さんかぶり、手作りの半纏にたちかけで山仕事を手伝ったり、こむきや丸太を磨いたりの作業をしていたそうです。

 

絣の半纏にたすき、そして「たちかけ」は三幅前掛けという三枚の布地を接いだ巻きスカートのようなものをあわせてはきます。

三幅前掛けには幅広の紐がついていて、明るい柄をもってくるのもチョッとしたおしゃれだそうな。

 

 

横姿と後ろ姿。 

 

時代の流れとともに衣食住は変化してきました。

特に着るものはより機能的になり、今ではほとんどこの姿は歴史紹介や観光対象としてしか見ることは出来ません。

けれども絣という素材は夏は涼しく冬は下に着込めば暖かい。長袖にたちかけは作業に適し虫なども防御できる、これ以上ないくらい快適で機能的なものだったのではないでしょうか。

先人の知恵に感服すると同時に中川の北山丸太は女性たちの支えがあってこそ、という思いがしてきます。

たちかけ姿は消えても、中川の女性が持つ何か根性のすわったような力強さはずっと伝えられている。だからこそ、北山丸太は消えないように。。

引退した今もパリっと糊をかけて大切にしまわれていたKさんのたちかけには、そんな願いが込められているような気がしました。

最後に…

「半纏とたちかけの隙間にちらっと襦袢を見せるんや。見せるから赤いもんとか可愛いもんを着てな。」

Kさんの奥さまは、乙女のように微笑みながら教えてくれたのでした。。

 

細野の魔法使い

2011.9.26  日記 

天高く馬肥ゆる秋…涼しくなると食欲も旺盛になり、これからはサツマイモの収穫に新米。

馬だけでなく人も肥ゆる秋ですね!

お彼岸の連休、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?

お墓参りは勿論のこと、この時期は運動会やお祭りなど秋の行事が目白押しです。

色とりどりの秋桜、ススキ野原。秋明菊の蕾がふくらみ、大人も子どもも楽しい、一年で一番心が洗われるような季節がやってきました。

夜は一気に冷え込むようになって今年の紅葉は早く見られるかも知れません。

 

先日チョット中川の外へ足を伸ばしてみました。

ここ生産組合からR162を京北方面に車を走らせ、笠トンネルを抜けしばらく行くと左手に何やら見えてきました。

木工の工房のようでもあるしお店のようでも…色んなものがゴチャゴチャとあります(失礼^^)

その名も「よろず庵」。

窓に貼り紙がしてあって、「留守の時は隣の工房にいるので声をかけてください」フムフム、一期一会の文字が妙に説得力あります。

 

お隣の工房にお邪魔しました。やっぱりゴチャゴチャ!

色んな材木や小さくカットされたものが見えますね。

 

よろず庵のオーナー、藤原 治さんは北山杉やその他の木材を使って印刷や加工をしておられます。

このような変木や節のある丸太が原材料となります。カットしたり印刷したり様々なものに形を変えると節も模様のように見え愛嬌があるとおっしゃいます。

一般の柱としては使えないものでも藤原さんの手にかかるとまるで魔法のようにたくさんの可愛い木工細工に生まれ変わります。勿論、中川の北山丸太もお嫁に行ってます。

 

これは檜。ちょっとピンク色がかっていて、とてもいい香り。

前から欲しかった、小さなまな板をお買い上げ~~ちなみに¥300!!

他にも薄くスライスした北山杉の名刺や、表彰盾なんかも京都市の依頼があったり京都ならでは!と言う印象がしてとてもいいなぁと思いました。

地道な細かい作業ですし、大きな売り上げが見込める仕事でもありませんが木の温かみと共に、一つひとつに藤原さんの愛情がこもっているような気がして…作品を手にした人は優しい気持ちになれるんじゃないでしょうか。

 

お店の中には可愛いものがいっぱいです♪

丸太をくり抜いて作ったマスコット。くり抜いた中身もきっと何かになってる筈ですよ。

 

来年のカレンダー。藤原さんの得意とするところの印刷技術です。

木目が美しく、数字もにじまずにキレイにのっています。お店に置いたりしても素敵ですね。

まだまだ紹介しきれないくらい、たくさんの木工細工や印刷物があります。

 

「何でもありのよろず庵や」とおっしゃる藤原さん。

その通り、こんなのが欲しいんやけど…とお願いすると設計からして下さいます。

床の間を飾る柱や垂木にはなれなかったけど、小さくなって新しい命を授けられた北山杉たち。

お話してるうちに嬉しくなって、そして「一期一会」を感じたひとときでした。

 

 

よろず庵 

〒801-0262 京都市右京区京北細野町信濃垣内31

電話 0771(52)0476

http://www.yorozuan.com

 

 

あ・うんの呼吸

2011.9.16  生産作業 工程 

今日も残暑厳しい一日でしたが、蝉の声もミ~ンミンからツクツクボ~シに変わりあちらこちらでススキの姿が。その周りには赤とんぼが楽しそうに飛んでいます。

大森の方では黄色く実った稲穂が頭をたれ、早くも稲刈りがすんだ田んぼもありました。

夏から秋へとうつろう、心癒される中川の風景です。

 

もう何度となく中川を行ったり来たりしていると、通るたびに目に入る光景があります。

雨の日も風の日も道路に面した作業場に並んだ美しい木と作業されるお二人の姿、そして「面皮」の大きな文字。

ここは中川で唯一、面皮加工を営むMさんご夫妻の工房です。

「面皮(めんかわ)」とは磨き丸太や絞り丸太の4面をはつり、美しい木目を見せる加工のことで、日本の伝統的な数寄屋造りの茶室の柱や床柱として使用されています。

「はつる」と言いましたが、昔は便利な電動工具などなく、鋸(のこ)・鑿(のみ)・錐(きり)などの道具を鍛冶屋さんに注文して作っていました。

面皮加工の粗削りに使う道具もその一つ、「釿(ちょうな)」です。「手斧」と書いてそう読むこともあります。

Mさんはじめ、職人さん達の中では「チョンナ」と言っていましたよ。^^

今では機械で行っていますが、今回特別に「チョンナ」での加工をお願いしました。

 

まずは定規を当てて水平を出し…

はつって行きます。今、振り下ろされようとしてるのが、「釿(ちょうな)」です。

きれいな木目が現われて来ました!正直、「え?これでちゃんと面が出来るの? 」と思いますが、そこはMさんの熟練の感覚で、もくもくと(木だけにもくもくf^^;)とはつられて行きます。

 

スゴイでしょう?飛び散る木片、チョンナのパワーです。

ほら、こんなに綺麗な面が。手ではつったのですよ。信じられますか?

年季の入った「釿(ちょうな)」。よく手入れされています。色々なサイズをお持ちでした。

そう言えば私の通勤途中にある太秦の広隆寺。

年末になると門に大きく「釿始め」と書かれた幕がかかげられます。

毎年、1月2日に宮大工の仕事初めと一年の無事故を祈願して古式ゆかしく行われるものです。

古代から大建築の前には必ず行われていたそうで、「木槍(きやり)音頭」も奉納されます。

 今では一部の職人さんや宮大工さんが使うこの道具。この中川にもしっかりとその技術を守り続けているMさんがいます。

 

現在は製材機・まるのこを使って粗びきをしています。

まるのこ…鋭い歯で、スムーズに引けているように見えますが…

押す・引くの絶妙なタイミングを合わさないといけません。まさにあ・うんの呼吸です。

この後寸法を出して鉋をかけます。

 

 

伝統的な木造建築どころか床の間のあるお部屋すら減ってきた近年、面皮柱の需要は少なくMさんご夫妻も試行錯誤の日々を送っておられます。

そんな状況の中でもお二人は笑顔を絶やさず、何より心奪われたのが奥さまの気遣いです。

Mさんの一挙一動を逃さず、必要な時に必要なものがすぐそこにあります。

そんな奥さまにチョットのろけられてしまいました^^

工房の向かい側に咲き乱れる季節の花々。

「主人が作ってるんです。何度も鹿に踏まれても、また植えたらええやんかって。凄く前向きな人なんです。」

不安な状況下でも、花や野菜を育てて生活や心に潤いある暮らし…

どうかこの面皮柱と加工技術が守り受け継がれますように。

 

「ようこそ!中川へ」。中川に来られたら、必ずこの光景が見られます。

中川に面皮のMさんあり!!

ハイカーのフランスの方と仲良しになってバスがなくなったから駅まで送って行って下さるそうな。

そんな気さくで優しい職人さんですよ。

 

270年の時を経て…

2011.9.8  北山杉の里 見どころ 

台風12号は長く日本列島にとどまり、猛威をふるい、各地に大きな被害をもたらしました。

いまだに孤立している方々もおられ、一刻も早い救助を願うばかりです。

ここ中川も大変な風雨に見舞われました。大きな被害はなかったようですが、皮を剥いて乾燥させていたタルキの色の仕上がりが…と嘆いている人もいます。

さて台風一過とはよく言ったもので、長雨が去った後はまるでハケでさっと撫でたような秋の空!!

 日中の日差しはまだまだきつく蝉の合唱も賑やかですが朝晩はグッと冷え込み、そろそろ中川の秋が足音を立ててやってきました。

 

今日は中川の伝統的な家屋をご紹介しましょう。

宗蓮寺に向かう途中、チラっと見えた何か…?両側に夏の草花が茂る道を行くとそこに見えたのは….

茅葺きのお家!! とても美しく整えられ、元気な生活感。近づくにつれ「家が呼吸している」のを感じます。

 

ここは中川で唯一の茅葺きの伝統家屋、Uさん邸。

築およそ270年というこの家は、現存する茅葺き家屋で人が生活しているという点でも極めて貴重で、大学の調査も受けています。

20年から30年に一度は葺き替えなければならないという茅葺き民家、維持も大変なのに住み続けるUさんから色々聞き出しちゃおうと思います!

 

 

これがお玄関。見えていませんが、屋根を支えるのにも北山丸太が使われています。

まず目についたものが・・・何か由緒ありそう・・・って言うか

チョットおどろおどろしい~~かも?犬神家の一族・・・!

名前は何と言うのかUさんも判らないみたいですけど、お札を入れておくもののようです。

破れた隙間からおそらく「愛宕」の文字が見えますね。

Uさん、触ったことがないとおっしゃるから、中のお札の年号を見て遡ってみると…100年くらいはそのままみたいです。

 

中川の伝統家屋には、それぞれの部屋に独特の呼び名があります。

入ってすぐが「シモンデ」。「下の出」から来ているそうです。そしてここは「ウッチャ」。

「うちわ」が語源であるように、家族が集う生活の中心となる部屋。。時にはお客さんを招いて真ん中に切られた囲炉裏を囲み会話がはずんでいたのが目に浮かびます。

奥には懐かしい「おくどさん」が見えますね。もう使われていませんがウッチャにどんと腰を据えている姿を見ると、長年家族の食事の要となったおくどさんへの愛着が感じられます。

 

ここは「ナカノマ」。昔は寝室だったようです。数えてみると4畳ですが、普通の4畳よりもかなり広くなっています。そしてこの奥にお座敷があります。

 

家のあちらこちらに昔のつくりが見られます。私たちは「シモンデ」でお話を伺いました。お部屋とお部屋を仕切るのに襖はありません。みな、木の引き戸です。

鉋(かんな)などない当時は「鑓鉋(やりかんな)」と言う道具で削ったそうです。斜めから見ると戸の表面がなだらかでなく、少しデコボコしているのがわかります。

外を遮るのに、雨戸はありますがガラス戸やサッシはありません。障子だけ。それでいいのです。

ここには古き良き時代の空気がそのまま流れています。

何故270年もの間、天変地異によって倒されることなく現存しているのでしょうか…それはこの萱葺きの家屋が風が吹けば風とともに漂い、地震が起これば共にゆらゆらと揺れるから、とUさんはおっしゃいます。

「ガチガチの建築ではなく、家自体が自然に身を任せている」  家は自然に身を任せ、家族はその家に身を委ねる…そんな生き方が今なお、ここ中川で息づいているのです。

 

心地よい風に虫の声。「涼し~~」思わず声に出すとUさん、「萱葺きの家は夏涼しくて、冬あたたかいって言うやろ?アハハ!そんな事あらへん、隙間だらけで冬は寒い寒い」…だそうです^^

…あ。じっくり見ると木がそって隙間があったり、歪みのために引き戸が重かったり。だって270年もの間、幾世代の家族を見守ってきたのだから少しくらいの不具合は大目に見てください。自然に身をまかせるんだから寒かったら着込みましょうよ。・・・とは言ってませんよ。。

 

去りがたいほどくつろがせて頂いた、最後のサプライズ!!

それは正面からは見えませんがお風呂の屋根に取り付けられたソーラーパネルです。

Uさんご自慢のすぐれもの、夏も冬も燃料いらずでお風呂をいただけるそうですよ。

現代の便利も少し取り入れながら太陽の恵みを暮らしに役立てているのですね。

 

 色んな方面からの取材や調査があるにも関わらず、Uさんご夫妻は伝統家屋を270年も守り伝えている、というような奢りはなく肩肘はらず本当に普通に、自然に暮らしておられるように見えました。

ふらっと立ち寄ってみたら…今日もUさんが表の長いすに腰をおろしてお庭を眺め、傍らで奥さまが何やら用事をされてる姿が見られるかも知れません。。

 

 

 

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