ブログ 北山杉の里だより

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タルキの伐採

2012.7.30  生産作業 工程 

毎日のようにニュースや天気予報で「京都の最高気温は37.5℃でした。明日も厳しい暑さになるでしょう。」と聞くとゲンナリした気持ちになります。

今年は暑さが身にしみる感じで流れる汗も半端ないのは節電を心がけているから?それとも歳のせいでしょうか(笑) 

そんな猛暑もなんのその、額に汗しながらテキパキと仕事する山の職人さん達がいます。

 

先週、水曜日の朝。北山杉の里総合センターの駐車場に入ると、見慣れない光景が・・・

 

伐採されたタルキが、皮を剥いて槍組みにしてあります。

 

昨年の8月に「本仕込」の見学会でお勉強させてもらった時のことを思い出します。

てっぺんの葉を残すのは、じっくりと水分を蒸散させるためでしたよね。 

 

この日から、生産組合のタルキの伐採が始まりました。前日は大安吉日。「伐り初め」といって、暦を見てよい日に1本だけでも伐っておく、そんな慣わしがあるそうです。気持ちを正して、仕事を始める。良い木であるように願いをこめて。育ててくれた山に敬意を表して。

 

近年、機械での皮むきが普及してきたので伐採は木の成長具合を見ながら時期を選択することが出来ますが、本来は皮が剥ける時に伐採をします。

その最初となるタルキの伐採時期は7月下旬。この時期に剥くのは、春から太った部分の身が締まって木肌が固まってきているから。身が締まっているものは肌がツルツルで、そうでないものはぶよぶよなんだそうです。

そして、夏に伐採するために春までに枝締めをします。

枝締めは伐採前の最後の枝払いのことで、これが最終の太り(年輪)を抑えて表皮の良し悪し・光沢・割れにくさを決定づけます。

特に、タルキは背割りを入れないので割れには注意しないといけません。

一番太る成長期が4月5月6月で、それ以降は水を上げるのが止まるので7月の中頃で固まります。

中と外から一気に水分を飛ばすために枝締めをすると、この時期しか剥けないということになります。

 

 伐採の現場に潜入!

 

中にはよく太った木もありまして。 枝打ちや手入れを怠ったものは太くなり、「ゴロンボ」と呼ばれます。刑事コロンボではありませんf(^^);

 

チェーンソーでちゅい~ん! 

 

この日は二人組で息もぴったり。倒す方向を考えて支えながら刃を入れます。

 

長さが3mを超えたら伐採の時期。 

 

台杉の株です。左は伐採したばかりの切り口、右はその前に伐採した跡。これで15~20年ですから、いかに細く長く密に育っていたかがわかります。そしてまた横から次の芽が育ち20数年かけて伐採の時を待つのです。 

  

こんなお客さんを見つけました。チェーンソーの音にも怯えず、伐採を見学?

 

そして皮むき作業。 

 

伐れ伐れのタルキたち。 

 

剥く前に「これは綺麗に剥けるなぁ。」「何でわかるんですか?」

「勘や。」

勘。それが、ずっとこの仕事に携わってきた職人さんの何にも勝る武器。 

 

綺麗に剥かれた跡に見える、美しい木肌。 

 

先っちょの葉を少し残してツルツルに剥きます。 

 

剥いたばかりの皮は、しっとりと水分を含んで生々しい感じです。 

 

乾燥の方法はそれぞれやり方があり、伐採した木をそのまま山で5日~1週間寝かしてから皮を剥く、という人もいます。

 

30本くらいの槍組みの中から撮影してみました。自分がとっても小さく思えます。

 

お日様がもうすぐ山の端に沈む頃。まだ作業は続いていました。この日は100本くらい。

 

黙々と作業する職人さんたち。シャツもパンツも、着替えてもすぐに汗でぐっしょりです。 

 

職人さんの手に身を委ねるタルキたちは、エクボも可愛く何だか幸せそうに見えます。 

 

たくさんの皮はお風呂の焚きつけなどにも使われます。きちんと纏めて、最後まで美しい仕事。それが、ここの職人さん。 

 

伐採して皮むきを終えたタルキは槍組みのまま数日置かれ、手で触ってにちゃにちゃしなければ葉を少しだけ残して落とし、陰干しします。

そうすると残った葉は自然に茶色くなっていきます。あくまでも、木自体の持つ力を利用して、じわじわ乾燥させる。それが色艶を美しく、割れにくいタルキへと導いてくれるのです。

葉の色が変わり、再び触ってみてにちゃにちゃしていなければ、その時点で使える直材の長さでカットして保管します。

 

長い年月をかけて細く長く育ったタルキは、この灼熱の夏に職人さん達の手によって伐採され、ひと皮剥けた水も滴るいいタルキになりました。

建築の近代化で需要の減少、後継者不足など様々な問題をかかえている北山林業。けれどまだまだ、先人の智恵を受け継ぎいいものを創る人がいます。そしていいものを求める人もいます。

タルキの手触りが温かいのは、母なる大地に根を下ろす台杉から生まれそして、一本一本に携わった職人さんの心がこもっているからではないでしょうか。

夕暮れ迫る、でもまだ青い空を見上げるとスッと描いたように白い飛行機雲が。このタルキたちを明るい未来に運んでいってくれるような、そんな気持ちがしたのでした。(了)

 

 

みやこ杣木産地視察研修会リポート

2012.7.23  北山杉体験・研修 

7月19日の金曜日、京都市域産材供給協会による「みやこ杣木産地視察研修会」が北山杉の里総合センターで行われました。

 

京都市都市計画局より21名が研修会に参加されました。当日は京北森林組合加工センターで製材加工施設や半製品・製品を視察。その後、北山杉の里センターにて周辺の北山杉や施設内の使用事例を見学、研修と意見交換会が行われました。

 

到着後、北山杉や倉庫内の丸太を見学。

 

 

丸太の種類を見たりタッチパネル式デジタルサイネージにもタッチしていただけました。

 

そして大会議室にて研修が始まりました。これは、京都市の都市計画行政に関わる方々を対象に行われたもので、公共建築物にも是非、みやこ杣木を使っていただきたい。そのためにはみやこ杣木について理解を深めていただくことを目的としています。

 

さまざまな分野で活躍する専門スタッフがパネラー(笑)

 

「みやこ杣木」とは、京都市域産材、つまり京都でとれた木のこと。

杣木(そまぎ)とは杣山(そまやま)から伐りだした材木のことです。日本には昔から、「山国杣」や「大布施杣」のように~~杣と呼ばれる地域があり、そこは王宮や社寺の建築用材木の供給地となっていました。また、著名な杣の大部分は都があった京都や奈良を中心とし、その周辺の山間部に存在していたと言われています。

 

地域で生産された木材を地域で使うことは輸送の点でも環境負荷が少なく、地域の森林・林業を活性化させ、地球温暖化防止の面でも国土保全を増進させます。

また、人と環境にやさしい木造住宅は第二の森林とも呼ばれ、各地域でこの「地産地消」が推進されています。

 

「みやこ杣木」は古き時代から、ここ京都で都の造営にも寄与してきました。

その京の木を現代も京都に住む人びとに使ってもらいたい、そのためには京都を司る人たちにもよく知ってもらいたい。そんな切なる気持ちが生産・加工・供給と、京都の木に密着した主催者側には込められています。

 

京都市内の森林及び京都市内の林業事業体が林業生産活動を行う森林で産出された木材を原材料とする製材品、磨丸太及びこれらの加工品を「地域産材」と定義し、これら地域産材のしるしとして「みやこ杣木」マークを表示します。

こちらは材面区分(木材の見た目の区分)のサンプルです。無節、上小節、小節など。京都市には独自基準「京一等」もあります。

 

意見交換では需要に対する供給能力など、積極的に行われ、短いながらも充実した研修会となりました。

 

杉の里センター施設内での北山杉の使用例を見学。テラスにて。

 

立礼式のお茶室、床の間も。

 

皆さま、お疲れ様でした。実際に産地の状況や使用事例を視察していただき、みやこ杣木を知っていただいた事はとても嬉しく思います。今後の都市計画に大きく活用されますことを願います。

よくお役所仕事などと言いますが、役所の方々はより良い京都にするために、このように足を運んで日々、研鑽を積んでおられます。

より良い京都は一方通行では実現しません。京都にすむ人、それを守る人。よい環境に住みたい人、その環境を与える人。行政と市民が相互に分かり合って協力し合ってこそ、実現するものではないでしょうか。

私たち市民も求めるだけでなく、学び知ることが人と環境に優しい暮らしの第一歩となります。

役所のさまざまな窓口を訪ねてみるのもいいし、ここ北山杉の里へ来られてもいい。

学校、図書館、市民ホール・・・いつかみやこ杣木を使った公共建築物が建てられたら。それは京都市民にとって「第三の森林」に違いありません。(了)

 

 

 

 

中川消防分団OBの意地

2012.7.18  日記 

35℃を超える猛暑日が続いていますが、気象庁は17日、関東甲信越・東海・近畿・中国・四国で梅雨明けしたとみられると発表しました。

もくもくとわいてくる入道雲が「夏本番いくよ~!」と言ってるみたいです。

 

 

連休明けの朝。北山杉の里へ向かう道はいつもと違っていました。ところどころに積み上げられた材木。山からビシャビシャと流れ落ちる水。トンネルの通行止め・・・

15日未明から朝にかけて猛烈な雨が降り、京都市や亀岡市が住宅の浸水や土砂崩れ、冠水など大きな被害を受けました。これは梅雨戦線に向かって南西から暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になったものですが雷や大きな雨音で目を覚ました方も多かったのではないでしょうか。

中川も午前4時~5時の1時間に85ミリを記録。それってどれくらいの降雨量だと思われますか?

天気予報で何ミリの降水量とか聞きますけど、ピンときません。そこで調べてみたのですが気象庁が作成している「雨の降り方と強さの表」

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html

これが結構ファジーで面白い。よく「バケツをひっくり返したみたいな雨」と言いますがそれが30ミリ以上50ミリ未満。85ミリというのは表の最後で、80ミリ以上は猛烈な雨。息苦しくなるような圧迫感。恐怖を感ずる。とあり災害の発生する恐れがあり厳重な警戒が必要、とあります。

実際、先日の雨は屋根が抜けるのじゃないかしら、と恐ろしく思えました。

 

幸い、人的被害はありませんでしたが自然の大暴れにはなすすべもなく。車が崩れた土砂にのみこまれたり、北山杉がなぎたおされたりもしました。

生産組合の倉庫の屋根についているスプリンクラーへと山水を送るパイプが土砂で詰まってしまってさぁ大変!水が全く出ません(*_*; 大切な丸太が保管してあるというのに、このままでは倉庫じゃなくてサウナになってしまいます。

 

谷は小さいながらもごうごうと音をたてて水が流れています。突っついてみても中間にあるパイプの方へ行ってくれる気配はなし。恐らく細かい土砂がぎっしりとパイプの中に詰まっているのでしょうね。

谷川の水は冷たくて凄く気持ちいいのですけれど長いこと入っていると冷えてくるし腰は痛いしで職員はへろへろ。

でもみんな、諦めません。本日の仕事返上でパイプ詰まりとの闘いです。

ごうごうと流れる水には、それよりも強い力の水で勝負だ!そこで出てきたのが・・・

 

ジャジャ~ン!小型動力ポンプの登場です。赤い本体に見慣れたホースはミニミニ消防車のよう。非常時に消火活動をするためのものです。

 

消火栓がなくても用水路や川から吸い上げるための、これが吸管。泥や異物を吸い込まないように、編み編みになっています。

 

川にホースを降ろして吸管を浸し・・・

 

動力で吸い上げます。ブルン、ブルン、ブルルン

 

えっさ、ほいさ、

 

先ほどのスプリンクラーへのパイプ元にホースを引っ張ります。

みなさん中川消防分団のOBとあって慣れた手つきであります。そして日ごろの丸太作業で鍛え抜かれたおっちゃんパワー!

 

放水中の重いホースを持つのは消防士になる試験にもありますが、男性でも一人で持つのは10分程度が限界の圧力!体力がないと出来ません。

 

そしてついにパイプの口とホースを合わせて、放水開始! 行っけぇ~~~!

 

ボコボコボコ・・・ ・・・開通する気配なし。

 

あっちがダメならこっちからだ!今度はスプリンクラーに近い、谷川から地面の中を通っているパイプの出口から逆流させるという作戦。

 

このように勢いよく水が溢れてきてしまいます。

ここから先の画像は諸事情によりないのですが(笑)、ホースの先につける「管そう」というものを借りてきまして、無事に逆流作戦が成功。開通することが出来ました。めでたし。

 

結局一日のほとんどを作業に費やしてしまいましたが、皆さんが大切に育てた北山丸太を守るため、不意の天災によるアクシデントに立ち向かう、中川消防分団OBと組合職員の男意地を見た気がしました。

それぞれの山も土砂が押し寄せて来たり、せっかくの植林がやられてしまったり・・・明日からまた、終ることのない作業です。 

ひとまず今夜はお風呂で汗を流し、美味しい水(?)で乾いた喉を潤して下さい。お疲れ様でした。

まもなく蝉の合唱が聞こえてくるでしょう。北山杉の里の夏。

願わくは、もうこんな豪雨がありませんように・・・(了)

 

魅惑のコラボ 井堂雅夫×北山杉

2012.7.16  北山杉加工品 

今年は7月16日が海の日。連休と祇園祭の宵山が重なるとあって、たくさん観光客もお見えになっているようです。祇園囃子の中、団扇片手にそぞろ歩く浴衣姿はやはりいいものですネ。

祇園祭の起源は平安時代初期に遡り、都に疫病が流行した時に病魔退散祈願として66本の矛を立て神泉苑で御霊会が行われたのが始まりと言われています。

天に向かって真っ直ぐに突き刺す矛に願いを込めて。それは古く万葉集にも詠われています。

「いつの間も 神さびけるか 香具山の 鉾杉のもとに 苔むすまでに」

いつのまに神々しくなったのか、香具山の鉾のように真っ直ぐに伸びている鉾のような杉の元に苔が生えるまでに。

昔の人は杉のその姿を鉾に喩えて天の神への遣いと信じ崇めていました。ここ北山杉の里も例外ではなく毎年お正月には大きな白杉のある、中川八幡宮へ詣でます。

現代ではイベントのようになっているお祭りにもちゃんと由来や意味があり、それぞれの山や鉾町の人びとは語り継いで行こうとしているのです。

それは祭りの世界だけではありません。日本の伝統的な技を後世に伝えていこうとしている人が、ここにもいます。

 

きぬかけの路・・・衣笠山の麓に沿って金閣寺から始まり、石庭で有名な龍安寺を経て、御室の仁和寺に至る全長約2.5キロメートルの路をさします。

金閣寺からほど近くに、ひときわ目を惹くモノトーンの建物、対照的に鮮やかな緋毛氈と緑の芝生。

 

 心を掴れるような「木版画」の文字の横にはギャラリーGADO…ガド?!

 

ガドではありません「雅堂(gadou)」でした。表にもいくつか額がディスプレイされています。そして無垢のテーブルがおいでおいでと私たちを呼んでいる!(笑) 

 

ここは京都の有名な木版画家・井堂雅夫さんのギャラリーです。

井堂先生は京都に暮らし、四季折々の日本の美しい風景を木版画にし、数々の作品を制作してこられました。特にライフワークとも言える京都と奈良、庭シリーズや大和路シリーズはその独特の郷愁を感じさせるタッチで、国内外を問わず多くのファンを魅了しています。 

毎年展覧会を開催し、現在も意欲的に創作活動を続けておられます。 

「ギャラリー雅堂」は、一人でも多くの人に木版画を見てもらいたい、木版画の素晴らしさを知ってもらいたいという思いで1982年に開廊されました。

季節に合わせた展示や、テーマに沿った展示でファンは勿論のこと、道行く観光客も思わず足を止めるような素敵なスポットとなっています。

 

ギャラリー雅堂・開廊30周年の記念すべき節目を迎え、先日まで「ギャラリーサロン展・北山杉×石×井堂雅夫」が行われていました。

え!北山杉? フフフ、魅惑のコラボレーションは後ほどたっぷりご覧いただくことにして、少し木版画の歴史や井堂先生の活動に触れてみたいと思います。

 

ギャラリーの中は小さなものから大きなものまで作品がズラ~リ。

 

木版画の歴史は古く、仏教の伝来とともに木版画の経文が伝えられたことがわかっています。

そして木版画と言えば写楽などの「浮世絵」。浮世絵には版画、絵画、肉筆画があり絵画と肉筆画は一点ものですが版画は同じものを何枚も刷れるという利点から江戸時代の大衆文化として人気を呼びました。

今で言う印刷ですね。ところがその技術はとてつもなく幾重にも及ぶ工程と技術を要するのです。

 

恐らく、誰もが図工の授業で彫刻刀を手に一生懸命木の板を彫り、バレンでこしこし擦った記憶があるのではないでしょうか。大体がベニヤ板で墨一色刷りです。

木版画の原版は版木(はんぎ)とか彫板(えりいた)と呼ばれ、桜の無垢材が使用されます。

伝統的な多色刷りの工程は、絵師が描いた下絵を色ごとに彫り師が何枚も何枚も版木に彫り、摺り師が色ごとの版を取り替えながら摺り重ねて行くというものです。

熟練の技と呼吸がなければ出来ない緻密な作業。このプロデュースのチームを「版元」と言います。

木版画はメディア的な存在、言わばグラビアやポスターのような感覚で、江戸時代は蕎麦一杯の値段で買えたと言います。楽しみだけでなく、さまざまな情報を発信する大切な存在。それを支えたのが全て手作業の版元でした。

 

明治以降、印刷技術の発展とともに木版画の役割は終わりを告げ、彫り師や摺り師は少なくなってしまいました。技術が失われていくのはとても残念なことです。一般民衆の楽しみだったとしても、その製作過程は染めなどと同じく日本人ならではの繊細さを必要とし、機械では出せない味を生み出すものだと思います。

井堂先生は、木版画で表現する四季折々の美しい風景を多くの人に見てもらいたいというだけでなく、この伝統の技を守り育てるためギャラリーにアトリエと版元「歡榮堂」を併設しました。

先生のもとで作家の佐野せいじさん、本荘正彦さんが意欲的に創作活動を続け、独特の世界観を繰り広げています。

 

「歡榮堂」にはこの道50年の親方もいらっしゃるそうです。熟練の親方について若手の彫り師や摺り師さんが修行を重ねています。

手先の器用な日本人ならではの感性を後世に伝えたい、という思いを込めて技術と人材の育成に力を入れ、さまざまなジャンルの木版画を製作しておられます。

機会があれば、工房もぜひ、見学させていただきたいなぁと思いました。

 

数ある展示作品の中で発見! 

 

雪化粧をした北山杉の上にぽっかり浮かぶおぼろ月。

和の題材でありながらファンタジックで、まるでクリスマスカードのようです。

ふるさとの風景、北山を何度もスケッチされた先生は冬の北山杉が好きだとおっしゃいます。

 

近くでじっくり。先生のサイン。もうこの形でお分かりでしょう?

 

北山丸太です。これが井堂雅夫×北山杉のコラボレーション!

絞り模様を見ると、かなり斜めにカットされているのが判ります。

 

数点、作品を特別に見せていただきました。

井堂先生は4月に、ご自身のブログで「北山杉をキャンバスに描いてみました」と載せておられます。その時は試験的に、とおっしゃっていましたが、まさかこんな大作が出来上がっているとは・・・!

 

こちらは断面全面に色彩を施した作品。

北山杉の里・丸太の組合からやってきた私たちをギャラリーの方々は温かく迎え入れ、何とご自宅の先生を呼んで下さいました。

そして名刺交換!ホコタテじゃないですよ(笑)

先生はとても気さくな方で、私たちの質問にも丁寧に答えてくださり、また先生からも丸太に関する興味や問いかけがあり、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

 

やはり木をキャンバスにすることで懸念される割れの問題。絵画として長く、大切に飾られるには経過を見なければなりません。

 

丸太が十分に乾燥されていること。そして深く斜めにカットすることで、かなり割れは防げるという見解にギャラリーの方々にも大きく頷いていただけました。 

 

色彩はアクリル絵の具。表面を磨いてあるので綺麗にのるそうです。 IDO GREENと呼ばれる独特の緑は、鮮やかで深く、苔のむっくりとした感じも手に取るように伝わってきます。

 

透かして見える年輪も絵画の一部として、役割を担っています。これも先生ならではの味わい。

ギャラリーサロン展の会期中は北山杉に好きな絵柄を描いてもらえたり、お客様自身が共に絵を描いたり、語らいの時間を設けたりと、素敵なふれあいや出会いがあったそうです。

美しい木版画や絵画を間近で目にし、作家のお話を直接聞ける・・・このような機会は日々を過ごす中で、なかなか訪れないものですね。

今後もどんどん企画して行きたいとおっしゃる井堂先生。次のイベントが楽しみです。

 

伝統を守り、繋げていこうという熱意を持った活動のかたわら、新しい試みにも挑戦される作家としてのエネルギーには圧倒される思いです。

北山丸太は先生の手によって彩られた時、キャンバスとして、また新しい命を与えられました。

そうして作品となり、人びとの目に触れる瞬間を思うと、有難く誇らしげな気持ちになるのです。

「ほら、北山丸太って本当にいいでしょ?」 「いや、絵が素晴らしいからだよ。」なんて声が聞こえてきそうですけど。

コラボレーションと言うよりは、京都を愛し北山杉を愛する井堂雅夫という作家だからこそ生み出すことが出来る最高のカップリングなのだと思います。

最高の絵は最高の丸太に描いて欲しい、ぜひウチの丸太も使ってみて下さい…とチョット営業もしちゃいました(笑)

 

14歳まで岩手県で過ごされた井堂先生は、京都に拠点を置きながら花巻市でも花巻文化村を主催しています。

ふるさと岩手への思いは深く、「復興への願い 木版画に出来ること」と題したプロジェクトを展開、作品を通して東日本復興支援活動を今も継続しておられます。

復興への道のりはまだまだ遠く、けれど支援を途絶えさせてはならないという強い志に、私たちも故郷を愛する心と継続することの大切さを改めて感じました。

 

きぬかけの路を通るとき・・・青々と茂る大きな樹が見えたら、そこがギャラリー雅堂です。

ためらわず一歩足を踏み入れ、広がる木版画の世界を満喫して下さい。そして北山杉に描かれた絵画も見つけて下さいね。 

井堂雅夫さんオフィシャルホームページはこちら。http://www.gado.jp/

さまざまな取り組みや作品の数々をご覧いただけます。

 

桜の鴨川、初夏の仁和寺、紅く染まる大原、そして雪化粧した北山杉の里・・・四季折々、どこかでスケッチする姿が見られたら・・・それは井堂雅夫さんかも知れません。(了)

 

Dreams come true-宏庵

2012.7.10  北山丸太・みやこ杣木 使用事例 

京都府が発表した昨年の京都市を除く京都府内観光客数は、震災などの影響もあり前年比86万人の減少となりました。全国統一の共通基準では市の特性が反映されないとして京都市の観光客数は公表されませんでしたが、市内の年間宿泊者数は海外からも含め、4月は大幅に落ち込んだようです。

そんな中、修学旅行生は西日本の需要が伸びたことで前年とほぼ同水準の107万人が訪れました。この中にはきっと北山杉を見に来てくれた学生さんもいることでしょう。街なか以外にもたくさん見どころのある京都市ですが、今月はやっぱりコレ!

日本三大祭りの一つ、「祇園祭」です。梅雨のさなかの真夏日。京都も33℃を超える中、祇園祭りの鉾建てが始まりました。今日から16日の山鉾巡行までコンチキチン♪コンチキチン♪とはんなり、賑やかな祇園囃子が四条界隈を埋め尽くします。

この方が宵宮に浴衣姿で行かれるかどうか・・・はまだ聞いていませんが、京都に魅せられて、いや北山杉に魅せられてこ~んなリフォームを成し遂げました。

「何ということでしょう!」(笑)なお家をご紹介しましょう。

 

右京区梅ケ畑。近くには平岡八幡宮や占いで有名な某氏の邸宅があり、自然豊かなところにその家はありました。

エクステリアは普通に洋風な感じですが、む!表札にチェキ!これは後で聞くとして…

「ごめんくださ~い!」 

 

ドアを開けると、木の香りと共に目に映ったものは、北山丸太!

3階建てのこのお宅。まさか玄関だけではあるまいと胸がドキドキしませんか?

それではお施主さんの夢が現実となった、このリフォームの全貌をご覧いただきましょう(かなりパクリ気味f^^;) 

 

上がり框の右手には5本のタルキ。それぞれが様々な表情を持ち、窓からの光を受けて優しく、入ってくる人を出迎えてくれます。 

今年の2月、生産組合の駐車場に止まった1台の青いゴルフ。ナンバーは鹿児島。それがこの家のあるじ、Mさんと私たちとの最初の出会いでした。

 

以前にもお仕事でこの辺りや京北に来られたことのあるMさんは、北山丸太が大好きでリタイア後は京都に住むと決めていました。

そして念願の住まいをこの地に構えたあとは早速リフォームです。丸太を見に来られたMさんの目はキラキラと輝いていました。

前にイマトコでご紹介しました里仁舎のオフィスも訪ね、北山丸太のインテリアを参考にされます。

Mさん邸のリフォームは壁や床は触らず、生活空間にふんだんに北山丸太を取り入れるというものです。

階段では磨丸太が二本。結構太いですけれど圧迫感はありません。

 

タルキの手すり。緩やかなカーブの階段に沿って取り付けられています。

 

自然の「えくぼ」が表情ゆたか。見た目に軽やかで生活の手助けとなって。そして年月を追うごとに色艶を増していくことでしょう。

 

玄関を見下ろして。 どこに視線を向けても、そこに丸太の姿がある。それが不自然じゃないのが配置のよさと北山丸太の持つ優しさなのでしょうか。

では2階へ・・・

 

2階はL字型の広くて明るいリビングダイニング。真ん中に2本の天然出絞と磨丸太、窓と窓の間の空間にアクセントを添えています。

左の壁には4本。ソファに腰掛けながら丸太の息遣いを感じます。

Mさんの北山丸太への思いは特別です。恐らくお客さま、大工さん、インテリア屋さん、出前屋さん、それに林業家さん・・・初めてこのお家を見たら、「何やここは~~!」と思われるでしょう。

今回のリフォームに使われた北山丸太は総数28本、タルキは9本。

 

種類をランダムに並べたり、あえて背割りを見せる、それがMさん流。

「色んな見せ方があっていいんじゃない、と思うんだ。」「うんうん。」

 

そしてテレビと反対側の方、キッチンへと続く壁を飾るズラ~リ10本の丸太たち。大好きだとおっしゃる東山魁夷の額と生け花は、まるでお店のインテリアのよう。あら、テーブルの上にはバナナ、で~んとマッサージチェア。

 

それでいいんです。自分だけの美術館、それがMさん流。

 

そして3階は和室・小部屋・書斎の3部屋の間取り。こちらは和室です。床の間ではなく北山丸太の間。こちらも圧迫感はありません。

Mさんはここでおやすみになりますが、丸太に囲まれてどんな夢をご覧になるのでしょう?もしかしたら丸太たちの囁きや香り、呼吸する音が良い眠りを誘っているかも知れませんね。

 

こちらは人造絞り2、磨丸太1といった配列です。

 

畳を傷つけないよう工夫された施工。勿論、安全面でもさまざまな配慮が要所要所に見られます。 

 

こんな可愛らしい椅子まで。花器や壷を置いても良し、もちろん腰掛けても良し。

この後、北山丸太で作った照明(行燈)も納めさせて頂きました。まさに北山杉づくしの暮らしです。

 

小部屋の住人(?)はロシアンブルーのナターシャちゃん。このコも、Mさんがひと目見てビビッと来たそうです。

本当に出逢いは不思議。このお部屋には丸太はありませんでした。だってナターシャちゃんが爪研ぎしちゃうかもだし、丸太を大好きなMさんにヤキモチを焼いちゃうかも知れませんものね。

 

書斎は一部だけですけど。。この写真の左側にはデスクがあってMさんは只今、神社検定のお勉強中です。

クローゼットの前にはお気に入りの全て北山杉で作ったツリーハンガー。その後ろにも丸太が見えます。

 

北山丸太の良さを生かした手作りの一品。実用性がありながら、インテリアとしての存在感も際立ちます。

 

帰宅してバッグを置き、コートやジャケットを掛ける、そんな普段のMさんの暮らしに既に馴染んでいるふうでした。

「これはいい、ほんとにいいんだ。」

ツリーハンガー、愛されてます❤ 

 

 

 お邪魔する際にチェックを入れた(笑)、表札もこだわりの特注品です。

お名前のひと文字を入れた「宏庵」。これにはどんな思いが込められているのでしょうか?

「庵」の意味を広辞苑で引いてみました。

1.小さくて粗末な住居。

2.僧尼や隠遁者の住む家。

3.文人・茶人の雅号や料理店の屋号などにも用いる。

 

第二の人生は、北山杉に囲まれて好きな絵を眺め、好きな音楽を聴き、好きな本を読み、愛猫と過ごし、また勉強に励む、そんな生き方と空間。それは世界でたった一つの丸太をデザインした家。それがMさんの雅号・「宏庵」であり、長い間育んできた夢の集大成なのだと思います。

 

「何をやっている人だろう・・・?」前を通りかかったらそう思う人もいる筈。。

「宏庵」のピンポン♪を押してみて下さい。きっと「はいはい、どうぞどうぞ。」とダンディなおじ様が笑顔で迎えてくれますよ。

但し、今週来週は祇園祭ですので、はも寿司を食べに夜の祇園へ出掛けてられなければですが・・・(笑)

 

Woody woody woody! (3)

2012.7.4  北山杉の里 見どころ 

さてWoody woody、最終回。看板犬のヴィックス君はとても人懐っこくてファンキー。ヴィックス君に会いたくて来る人も多いのだとか。たまに有休をいただいてることもありますが…

彼の贅沢なハウスをご覧あれ。

 

北山杉で作ってもらったログハウスにご満悦。いいね! 「役得、役得~♪」

 

ところでハウスの上に掛けてあるのはなぁに?

 

何と、あのYMOの細野晴臣さんのサイン。Hと長~いSとoが☆になってるのは読めますけど、??(笑)

2年ほど前にふらりと来店されたそうです。やっぱり、北山杉に書いてあるのがイイですね~。私もこれからライブに行く時は色紙じゃなくって杉板、持参しようかしら。。

それではここからテラスへ出てみましょうか。

 

「いらっしゃいませにゃん。」

ここにはたくさん猫がいますが、一番人懐こいのがももちゃん。小柄でアイラインもくっきり、訪れる人びとを癒してくれます。色も北山杉になじんでますね。

 

新緑の山々を望む、気持ちのいいテラス。

 

川べりにもたくさん桃が実をつけています。

 

メニューもいろいろ♪

 

もうお判りでしょう?椅子は先日の木工工房で制作しています。

 

椅子は消耗品なので傷んできたら新しく作ったりなおしたりします。丁寧に作られた椅子たち。古くなってきた椅子と真新しい椅子が混在するさまは何だか人間社会にも似ています。時が経つほどに深みを帯びた椅子には「いい味だしてるねぇ、お疲れ様」と声をかけたくなります。

作られたばかりの椅子はこれから何人の人を見つめるのでしょう、もし再び訪れたら覚えていてくれるかな?

 

そして私たちのスペシャル・・・スペシャルおやつtime!

 

手作り焼きプリンをいただきました。今、流行りのとろとろ~っとかじゃなくて、しっかりしていて甘さも控えめで、だから甘あまの焦がしカラメルをかけて食べると、すっごく美味しかったです。

陶器のお皿は味わい豊かで淵がちょっとだけ起こしてあるので、カラメルも最後の最後までスプーンですくえます。葉っぱのグリーンが絶妙なバランス!

この焼きプリンは土・日のみ。数も限りがあります。でも娘さんによりますと、40分強で焼けるのでお願いして辺りを散策するのも可能かも?

そんなゆ~っくりとした時間を過ごせます。

 

ロフトから見下ろす睦まじい風景。男性が二人、ですけど(笑)

 

「ボクももう気持ちよくって眠くなっちゃったの。お昼寝…zzzz」

 

午後の光が高い天井から射し込み、聴こえてくるのは鳥の囀り、せせらぎ、さわさわと樹々が触れ合う音だけ。目を閉じると深~い眠りに落ちてゆくようです。

たまには街の喧騒から離れて北山杉の温かみに包まれて過ごすのも、心のリフレッシュになるのではないでしょうか。

団体さんを乗せた観光バスが通るような道ではないので、お客さまは常連さんやドライブする人、ハイカーさんなど。サイクリングの人が十何人も一度に来られた時はチョット慌てました、とおっしゃる娘さん。

 

 

梅雨が明ければ山の夏がやって来ます。今の静けさとはうってかわって蝉しぐれに入道雲。照りつける太陽。

北山杉も、それを生業とする人たちも変わることなく、ここにいます。せめて昨年のように集中豪雨がないことを祈って。

 

お日さまが昇ったら働き、山に沈んだら眠る。昔の人はそんな風に暮らしてきました。(夜更かしの自分には激しく耳が痛い)

計画停電や節電。みんなの資源を大切にするには勿論、必要なことです。

それだけでなく、もう一度暮らしの原点に帰って、インターネットや携帯電話のなかった頃を思い出してみませんか?

手紙を書いたり、本を読んだり。自然や動物たちとゆっくり語らい、過ごすのも節電と同じくらい意味のあることだと思うのですが。(了)

 

  

Woody woody woody! (2)

2012.7.3  北山杉の里 見どころ 

Woody woody Part2. 今回は写真もたっぷりとお届けします。

北山杉を使った木工品を製作している人はたくさんいますが、それぞれお店に置いたり、イベントに出店したり、注文を受けてから作ったりと、販促方法もいろいろです。

そして勿論、自分のお店で使うためという場合もあります。

 

前回、お楽しみにとっておいたログハウス、一体何をしている建物でしょう…? 

 

信号もない一本道。入口にある「営業中」を見れば、「おっ!こんなところにお店が」と思うはずです。

メニューをじ~っと覗き込んでみて! ここは知る人ぞ知る、ハンバーグが美味しいお店。

 

なだらかな坂を上って行くと、見えてきました見えました! 

 

一見、梅のようですが、まだ青い桃の実。花の時期はとても美しかったと思います。 

 

落ちている桃の実を拾いながら入口へのアプローチを進みます。 

 

ウッドデッキへと続く階段。 

 

デッキへ上がると広がる空間!ハンモックが静かにお客様を待っていました。そしてテラスが見渡せます。 

 

無垢板のテーブルがここの雰囲気にピッタリ!先ほど拾ってきた桃の実をコーディネイトしてみました^^ 

 

レトロな感じの外灯の下、扉をくぐります。「わぁ~!」

 

何気ないディスプレイも自然の素材を用いてアレンジ。木の色ばかりの中で、紅い実がアクセントになっています。

 

ロフトへと続く階段。年数を帯びていい色艶になっています。 

 

明かり取りのある天井から光が射し込み、十分な明るさ。屋根へと延びるパイプのようなものは…? 

 

 

懐かしいだるまストーブ!昔、学校でみかんを乗せたりしていましたっけ(歳がバレちゃいますかww)

 

観音開きの窓を開けるとス~っと風が吹き抜けていきます。この感じは・・・「気持ちイイ~!」

 

「いらっしゃいませ~ボクが案内するワン!」

と出迎えてくれたのはオーナーの娘さんとラブラドールのヴィックス君。

 

丸太は見なれていると言うものの、美辞麗句では表現できない、自然のままの存在に、ある意味圧倒されました。

 

厨房もオープンな感じで、この時間はまかないtime。でも、ランチタイムとか中間休みはないので、ふらっと訪れても美味しいハンバーグを食べることができますよ。他にもメニューはありますし、手作りデザートも。。

 

そんな美味しいメニューやデザートが盛られる器は・・・

そう、前回ご紹介した窯で焼かれている陶器なのです。一つひとつ、丁寧に焼かれた器と心のこもったお料理のおもてなし。

こんな気持ちの良いところでは待ち時間も気になりません。厨房からイイ香りがしてくると、お腹はぐ~っと鳴るかも知れませんけど?

次回はテラスへ出てみましょう。お楽しみに!

  

 

Woody woody woody! (1)

2012.7.2  北山杉の里 見どころ 

週末の間に7月に入りました。今年の折り返し地点。植物も動物も巡る季節と共に成長しています。

まだ半年、もう半年。一日一日を大事に生きて行くには、あまりにも時の流れが速いような気がします。

そんな毎日の中で、ちょっぴりスローライフを感じられるような場所を3回に分けてご紹介したいと思います。

 

国道162号線を折れて杉阪方面を真っ直ぐに行くと京見峠。

峠を越えると北大路などへは近道なので、利用する方も多いですが道は細く離合の際は要注意です。

中ほどに見えて来るのがH林業。遠くにログハウスが見えますが、こちらは次回のお楽しみ♪

 

アプローチのような道を奥まで行くと、こんな手作りの目印がありました。木工→陶芸→?

 

そう、H林業では北山杉の他に木工製作、そして陶芸もしておられます。それでは工房の内部を見せていただきましょう。

 

ところ狭しと並んだ木工品たち。機関車や飛行機など、車輪の部分に美しい年輪の見えるタルキが使われています。素朴で温かみのあるものばかりです。

 

アルファベットの列車も面白いですね♪

 

ペットボトルを胴体にした飛行機がモビールのように空間を漂っています。立てたら花瓶にもなります。

こちらは小学生の図工の木工体験になるそうで、今からたくさんキットを用意しなければならないとか。

 

現在、製作中のミニチュア・・・? 「これも木工品ですか?」

「No!」

 

増築するテラスのミニチュアモデルを製作しているところなんです。

お施主さんの希望に添って建築家が設計図を作成するのですが、図面だと頭の中で想像してしまうので、実際にはズレが生じることがあるかも知れません。

 

細部まで忠実に再現したミニチュアモデルにすると、目を通してリアルに感じられるし、施工する側も説明しやすいですよね。建築家の安藤氏をはじめ、最近はこのような手法をとることが多くなってきたようです。

 

家を建てる、増やすということはそこに住む人にとって大きな出費であり大きな出来事です。

居心地のいい、お気に入りの場所を創るためのさまざまな過程の一つがここにもありました。

実際のテラスが出来上がったら、このミニチュアはどうするのかしら…聞くのを忘れたのですけど、私だったら大切に飾っておきたいなぁと思うのですが。。

 

工房のお隣には何やら不思議な機械が。 

 

このコ達が待っているのですね。そう、窯です。

先ほどのミニチュアモデルを製作しておられたAさんは陶芸もされますし指導もしています。

こねて、形を整えて、乾燥させて…窯に入れるところまで作る人にやってもらいます。そして、窯から出すのも…作った人です。

「創った人が創ったんやと実感できるように。」Aさんはこっそり仕上がりを見たり面倒を見ながら、創った人が窯から自分の作品を取り出す時のわくわくと笑顔を想像します。

陶芸を知り尽くしている人だからこそ解る、楽しみや喜びを感じてもらおうというAさんの愛情です。

 

にゃんこも作業を観察中。チェーンソーに気を付けてね!

 

工房を少し降りてくると白い波板に覆われた背の高い建物が見えてきました。

 

ここはH林業の大切な大切な北山丸太の乾燥室です。お邪魔しま~す! 

 

 

 

つやつやと輝く磨丸太や絞り丸太が温度・湿度管理されています。今のような梅雨の時期は扇風機で風を通して、通気性をより良くしています。 

 

いかがでしたでしょうか?

そこに木があるから、土があるから、考えてそして創る。けれど妥協ではなく、モノを大切に、使う人が心温まる作品がここで生まれています。

童話に出てくるような綴れ折りの道の下では、まだまだ素敵な時間が私たちを待っていてくれたのでした。

次回をお楽しみに! 

 

 

ナニワ何でも節だよ人生は

2012.6.27  北山杉加工品 

6月も最終週となりました。北野天満宮や護王神社などでは無病息災を願ってくぐる茅の輪が準備されているでしょうか?和菓子屋さんには水無月が並んだり、まだまだ京都にはこういった風習が伝えられています。そして7月に入れば聞こえてくる祇園囃子…

北山杉の里総合センター前の谷川では蛍がちらほら飛び交い始めました。産みつけられた蛙の卵はどうやら鹿に荒らされちゃたみたいです。まだの方はさくらんぼの収穫体験も急がなくちゃ!

 

さて今日は木造建築に関する豆知識。

何気なく見ているものが、実はこんな仕組みになっていたのだ!というお話です。

 

可愛く並んでいるのはおはじき?ボタン?かたつむり?大きさは色々ですが、年輪のような渦巻きが見えますね。

 

近年、生活様式も欧米化~と言いますか、膝を悪くされている高齢者も椅子の方が立ち上がるのが楽だったりで、畳のお部屋は少なくなりキッチンやリビングなどの床がフローリングというのが普通になってきました。

フローリングと一言でまとめても、集成材・無垢など材料はさまざまです。

 

こちらはサンプルですが、木目も美しく建築や材木業界では「無地」または「無節(むふし)」と呼ばれています。無垢の無節はそう多くはとれません。

 

こちらは節のある材料。ログハウスや公共建築物、一般家庭でもよく見かけます。節はあって当たり前なんです。

それは・・・節のあるところには枝があった、と言うことですものね。けれど節にも生きている節と死んでいる節があるのをご存じでしょうか。

木はその成長過程で、日光が当たらなくなった枝には水分を送らなくなります。もうあなたは無用よ!という感じですね。結果、その枝は枯れるか折れるかしかない。

大鷲の親が、兄弟の中で餌を勝ち取れず生存競争に負けてばかりいる雛を巣から蹴落とすのに少し似ています。木も、自然の恵みを摂取できなくなった枝には厳しい選択をするのです。

そして木は成長を続けますから、枝が落ちた跡は何年もかかって幹の中に取り込まれて行きます。

一方、北山丸太のように枝打ちをすると枝は生きたまま伐られるわけですから、この跡は生きたまま幹に取り込まれて行く事になります。

 

さて木が伐採されて製材。枝の跡は幹の中に取り込まれているので外側は無節ですが、製材がだんだん芯に近づいてくると、やがて枝だったところが出てきます。先ほど、無垢の無節はそんなにたくさんとれない、と述べた理由はここにあります。

節は枯れた枝の落ちた跡なら「死に節」、枝打ちのように生きて伐られた跡なら「生き節」と呼ばれます。

有節の材料は用途や好みもありますが、とてもナチュラルなテイストです。

写真は「死に節」。ぽっこりと穴があいています。このまま床材などに使用すると見栄えも悪いし、小さな子どもが怪我をするかも知れない、女性はストッキングを引っかけてしまうかも知れません。

そこで考えられたのが「埋め木処理」です。

 

埋め木とかピースと呼ばれている、この小さなおはじき(笑)は枝を加工したもので死に節のある節板を生き節として再生する補修用パーツ。

専門に作っている業者さんがあり、サイズや色合いもさまざまです。素材は桧で、全てのピースには芯が入るように製作されています。

 

処理の方法は、節を中心にドリルで穴を開けピースをボンドで接着します。ボンドもF★★★★の健康住宅対応、ホルムアルデヒドを使用していないものです。

また、特殊な機械で埋め込んでプレナーをかけ、より密着感のある仕上がりになる方法もあり、パッと見は生き節と見間違えるほどです。

 

これはサンプルですがドリルで穴をあけ、ピースを埋め込んであるのがよく判ります。

死に節の補修にはこの他にパテで埋める方法もありますが、経年変化で木は色が焼けてきます。ところがパテの色は変化しないので、穴を埋めていることが目立ってきてしまいます。埋め木処理の方がより自然と言えるでしょう。

 

面取りしてあるものは埋めやすく、割れにくいそうです。直径15~30㎜がよく使われています。

 

いかがでしょうか?このことを知ってから節のあるフローリングや壁に出会ったら、思わず覗きこんでしまいました。(笑)

「あ、これは死に節やな。」とか偉そうに言ってみたり。

自分の体の一部でありながら、育つ可能性のない枝には水分を送らないという、容赦ない木の生き方に驚きましたが、哀れなその記憶を何とか生かすことが出来ないだろうか・・・と埋め木処理を見出した人に脱帽です。

そこには木をあますところなく使う、勿体無い精神や人に優しく、目に美しくと言う日本人ならではの奥ゆかしさも感じられます。

一方で節はある種のデザインであり、埋め木を施されたかつての死に節は何かしらを主張するかのようです。

いつかどこかで節板を目にされたら、覗き込んでそっと撫でてみて下さい。

それは生き節かも知れないし、埋め木の節かも知れない。けれど、いずれにしてもその木の長い歴史の中で、枝打ちをする、伐採する、製材する、加工する、たくさんの職人さん達の思いが込められているのです。

 

 

紅い宝石 made in KYOTO

2012.6.19  日記 

台風4号の影響で、京都も夜半から雨が降り続いています。暴風雨に備えるとともに、各地で大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

そんな雨の北山杉の里・・・京都北山丸太生産協同組合では6月の市が行われます。足元の悪い中、遠くからお越しいただいたお客様に良い買い物をして頂けますように。倉庫の中では丸太たちがスタンバイOK!

 

ところで前回、予告いたしましたこの季節のトピックス。秘密諜報員No.2からの情報は信じられない内容でした。「え~~っ!!」

では、潜入レポートです。

 

現場は京都市右京区のとある山手の地。整然と並ぶハウスの向こうには北山杉が見えますね。

 

事務所の前には建設現場などで使う運搬車、でも気になるのは・・・ 

 

「チェリーカー」 …?あまりにもしっかりと書いてある、チェリーカーとは何じゃらほい?

 

奥には材木が見えます。木工品でも作っているのかしら?

 

木工品じゃない、机の上には…え~~~っ!!! 

 

ななななんと、さくらんぼ!じゃあさっきのハウスはさくらんぼ畑?!というか果樹園?

 

ここは京都市内で唯一のさくらんぼ果樹園「チェリーハウス満雄(みつお)」。さっきのチェリーカーに納得(笑)。

自らをCherry Boyなどと冗談大好き、そしてシャイなオーナーNさんは今から納品に出掛けるところです。

…ん?このお顔、どこかで見覚えが!

 

それもそのはず、組合の市では振り子さんの姿を度々お見かけしていたのでした。

これは昨年の12月の市の様子。もともとは木材のお仕事に携わっておられます。

 

お忙しい中、特別にハウスの中に入れて頂きました。

 

内部にはたくさんのさくらんぼの木がお行儀よく並んでいます。そして… 

 

ツヤツヤのさくらんぼの実がすずなり!木になっているさくらんぼを見たのは初めてです。ここは山形?いいえ、まぎれもなく京都なんですよ。

 

手のひらに渡された一粒。口に入れるのが勿体ない・・・でも食べたい・・・ぱくっ! 何て甘くてチョット酸っぱくて甘くて…もう種だけになっちゃった。

 

紅い宝石。品種は佐藤錦。極上の甘味とほのかに酸っぱさもあり、歯ごたえもプリッとしっかり。さくらんぼの王様です。粒よりの佐藤錦手詰めしたものは、本当に宝石のように見た目も美しく、初夏の贈答品としても好まれお値段も王様なみに高価なものです。

名前はこの品種を交配育成した、山形県東根市の佐藤栄助さんに因んで1928年に命名されたもので、「砂糖のように甘い」意味もあるそうです。

山形県は実に日本全国の収穫量の70%を占めており、それに次いで青森・山梨を合わせた3県で全国の9割近くを生産している…日本の北部、寒さの厳しいところですね。

それだけ、さくらんぼの生産には気象条件が難しいと思われるのですが、ここ京都にこんな大きなさくらんぼの果樹園があるなんて本当にビックリしました。

 

6年前、Nさんが山形まで赴き13本の苗木から「チェリーハウス満雄」はスタートしました。 

 

現在に至るまで鳥害や早霜に苦しめられましたが、試行錯誤を経てハウスの数も増え、今では120数本までチェリーハウスは大きくなりました。

 

これは…♪わ~かい娘は ウッフ~ンの黄色いさくらんぼ。熟しても紅くならないんだそうです。接ぎ木から生まれた珍しいさくらんぼです。

 

お世話する人たちの努力は勿論ですが、この京都という地でさくらんぼの育成がここまで成功したのは山形と気候が似ていることが一つの要因となっています。

寒暖の差が大きく、収穫前の日照が甘さを際立たせる秘訣。とは言っても自然のことですから願うだけで要求は出来ませんよね。

 

真ん中に実のついていない軸が見えます。

これが「まびき」。さくらんぼの規格には外観を示す等級(特秀・秀・優・良)と大きさを示す階級(2L・L・Mなど)がありより大きな実にするにはまびきをする必要があります。

  

ほら、上の写真を比べると密集している方が少し大きさは小さいですね。小さくてもイイ、ぱくぱく食べた~~い!

…ですけど商品ですからそういう訳にはいきません。。

 

チェリーハウス満雄はNさんはじめ少ない人数で運営され、テントの取り付け・取り外しは大変です。鳥たちにとってこの愛らしい果実は絶好の狙いの的。流石にテントを突き破って入ってくることはないようです。短い収穫時期はてんてこまい。

この日はNさんの可愛らしい奥さまもパック詰めのお仕事です。

 

遠い土地のものでも、電話一本でお取り寄せできる時代。ですが実際に果実が木になっているのを見て、自分の手でもいで、口にする。これ以上の新鮮さと贅沢はないのでは?

 

この結実はNさんの思いの表れでもあります。

「そうだ、さくらんぼをこの地で育ててみよう。」趣味の園芸で育てている人は多々あると思いますが、Nさんはもっともっと志を大きく持ち、人が考えもしない、人のやらないことをやってのけました。

Nさんご夫婦と仲間たちの6年間はきっと学び、悩みながら成長してきた長い道のりだったに違いありません。けれど、これからも更に美味しいさくらんぼを求めて努力されるでしょう。チェリーハウスは煌めく紅い宝石を秘めた宝石箱。山々を背に、少しずつその宝石箱が増えていくのだとしたら…それは京都の誇りであり宝物だと思いませんか?

 

「チェリーハウス満雄」ではさくらんぼの直売は行っていません。

京北周山町の「道の駅・ウッディ京北」で販売しています。売り切れ続出ですので、早めに行かれることをおススメめします。

また、先週末からさくらんぼの収穫体験も行っています。京都にいながらにしてさくらんぼの果樹園で収穫という貴重な体験。

収穫期間はそう長くないので早めに申し込みされた方がよろしいかと思います。

こちらも受付は「道の駅・ウッディ京北」にて。

 

愛らしい紅い宝石、一粒食べたらきっと忘れられない味ですよ!だってMade In KYOTOですから!

 

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